10月15日 お天気：☀晴れ☀ 水温28度 透明度：15〜20m
【ポイント】 AM：サウスウエストピナクル ⇒ ホワイトロック
【見られたお魚】
シェベロンバラクーダ1000匹：巨大グレートバラクーダ一匹：キンセンフエダイ：クロホシフエダイ：バラクーダの子供の群れ：ホソヒラアジ：ヤイトハタ：タカサゴ：ユメウメイロ：ハナビラクマノミ：イエローテールバラクーダ：アカオビハナダイ：ミノウミウシの仲間：ダツ：ゴマモンガラ：アオマダラエイ：ゼニガタフシエラガイ：巨大コモヤドカリ：ホルトハウシ：アオリイカの卵：ツキチョウチョウウオ：ワヌケヤッコ：ヒトヅラハリセンボン：トウアカクマノミ：ギンガハゼ etc....
【本日の記念ダイバー】 おめでとうございま〜す☆｡.:*:･'☆'･:*:.｡.☆
AOW取得者 【タナカ フミアキさん】【フクダ タケシさん】
遡る事14年前、タモリの付き人をしていた筆者は、付き人という芸能界の底辺、もはや人間として扱われないという自分の置かれた状況に精神も身体も付いて行かず、もがき苦しんでいた。失敗をあげたら切りが無いが、社会経験の無い学生風情がいきなり入って、ミスをせず動ける程、芸能界のシステムは簡単ではない。芸能という特殊な世界、特殊な常識、全ての事例において、スムーズで完璧な動きが求められ、失敗すると鉄拳制裁。この悪しき因習によって、幸か不幸か失敗は、痛みと共に体に深く刻み込まれる事となる。
人間の成長とは恐ろしく、１年が過ぎ、2年が過ぎた頃には、刻み込まれた無数の痛みが自分のモノになってくる。全ての現場でのスムーズな動き、そしてあらゆる状況に応じた判断力。しかし、全ての動きに正解は無く、物事の過程は意味をなさず、全て結果だけで論じられる。考えてみると、とんでもない世界であるが、ここでの経験が後の筆者の精神構造、そして人間形成に大きく影響を与えるのである。
本日ついに今シーズンの仕事納め、天気も透明度も回復傾向にあるタオ島。昨日のチュンポンが絶好調だっただけに、一週間程寝かせたサウスウエストは果たしてどうなのか？と、誰しもが不安を感じながらの出航であった。波と風が全く無い中、順調に航海は進み、常連組2人を引き連れる筆者は、流れがある事を考慮に入れながら、メインピナクルの南東に位置する離れ根を狙う事となった。２か月前、この離れを狙って、一匹の魚も居らずという大失態（鉄拳2発に相当）を犯しているだけに、この決断には慎重さが求められた。水中に入ると、狙い通り離れ根方面から流れが来ており、途中全く魚が居ない中、中層付近を一心不乱に驀進。幸い透明度は絶好調、水底までくっきり見えながらも、途中、バラクーダどころか、ユメウメイロさえも遭遇出来ずにいた。しかし、離れが遠くに見えてくると、岩に靄が掛かるようにしてキンセンフエダイ、ホソヒラアジの大群が登場。ここに居たのか・・・思う間もなく離れのやや西付近では、500匹のジャワラビットフィッシュ、そして、久しぶり1000匹以上のシェベロンバラクーダの巨群、更には、東ブイに戻りながら、水底25m付近には、サメと見間違えんばかりの巨大なグレートバラクーダの捕食を目撃。２か月前の鉄拳2発相当のダメージを心に刻み、上手く結果に結びつけた見事な芸能界付き人ダイビングであった。
2本目のホワイトロックでは、砂地をゆっくり探索。透明度はいまいちながら、トウアカクマノミの横をゼニガタフシエラガイが通り過ぎ、見たこと無いぐらい巨大なコモンヤドカリにも遭遇。ブラックロックを回りながら、最後の最後まで奴の登場を期待するも当然現れず、8月30日以降運に見放された今シーズン最後のダイビングとなった。
5年間の芸能界生活を経てダイビング業界にやってきた筆者。当然、お笑いを諦める瞬間、他人には理解できない葛藤があった。『諦めたら100％売れない』『継続は力なり』様々な格言が頭の中を駆け巡る。そんな時、ある人物の一言がその後の人生を大きく変える事になる。
『ダイビング業界で売れればいい。全てのお客さんをタモリだと思え。』
ごきげんようのサイコロトークを考案、スマップ躍進の陰の立役者と言われる構成作家鶴間政行氏の言葉である。何処の世界でもスーパースターは存在するというこの一言、筆者が芸能界で修業したのはお笑いで売れる為では無く、ダイビング業界でやっていく為だったのか？？
半ば強引に人生を振り返る35歳青年ガイド。お笑い界から海の世界への華麗なる転身、彼が海のスーパースターになるのは今から20年後の事である。
時は2009年10月15日、35歳の彼はまだその事に気づいて居ない。
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