8月23日 お天気:晴れ 水温29° 透明度15m〜25m
【ポイント】 AMチュンポーンピナクル → ツインズ
【みられたお魚】
グレーリーフシャーク(未確認):タコ(詳細不明):シェベロンバラクーダ:ヤイトハタ:キンセンフエダイ:ホソヒラアジ:クロホシフエダイ:イエローバンドフュージュラー:ユメウメイロ:ササムロ:ヨコシマサワラ:ツバメウオ:オオクチイケカツオ:ハナビラクマノミ:メイタイシガキフグ:ネズミフグ:コモンヤドカリ:トウアカクマノミ:タルミノウミウシ:ワカヨウジ:コクテンハギ(♂♀):ダルマガレイ:etc....
【本日の認定ダイバー】皆さん本当におめでとうございま〜す!!
OWコース★『シマタマユナさん』『ナカタアスカさん』『ツジモトミユ キさん』『アサクラコウヘイさん』『タニユウスケさん』
AOWコース☆『カナイケンタロウさん』『イワサアツシさん』『ナカヤマケ イゴさん』
日常生活において、ごく稀に【特殊能力】という言葉を耳にする。誰しもが持っていない特別な能力の事であるが、プロフェッショナルな企業戦士達は、少なからずこの能力を有しており、それを駆使しながら、日々日本社会で戦っている。飲んだ牛乳を鼻から出せる、瞬きを全くせず1時間耐えられる等、クラスに一人は必ずいるこの手の特殊能力の使い手達。残念ながら、彼らの支持率は能力の凄さに反比例して非常に低い。
海の世界にもこの特殊能力を持つ魚は多く存在し、それは生きる為の【生存戦略】と密接に繋がっている。何と言っても最大の力を持つ特殊能力と言えば、やはり毒物であろう。自分よりはるかに力を持った生物に対して絶大な効果を発揮するという点では、生存戦略として最も進化した形と言える。四国独立リーグに女性ながら入団した吉田えり投手は、【ナックル】という毒物に匹敵する特殊能力を持つ。やはり特殊な能力を備えているというのは、それだけで非常に個性的かつ魅力的であり、魚の世界でも全く同じことが言える。しかし、個性的と魅力的は時として大きく違い、鼻から牛乳を出せる男子は、個性的ではあるが、決して魅力的では無いことを忘れてはいけない。
本日のポイントは『チュンポンピナクル』&『ツインズ』。ワイドとマクロという両者の個性がくっきりと分かれるこの2つのサイトは、何度潜っても底はかとない魅力に溢れている。まずは、一本目、最近てんでご無沙汰のシェベロンバラクーダを探して北に向かうも、約35m以深という恐ろしい深度に群れていた為断念。しかしながら、25m付近のサーモクラインの上に希釈効果(群れの中に紛れる事で個々の危険を回避する効果)を上手く使って群れるジャワラビットフィッシュ、危機管理能力が極めて高く動きの速いユメウメイロ&タカサゴ。ハナビラクマノミのすぐ横の岩場では、珍しくもタコが体色変化を繰り返しながらオトメベラを威嚇。昨日のジンベエ騒動の余韻が残る中、全てのガイドが音に敏感に反応するも、奇跡は起きず、中層の魅力、そして、特殊能力を堪能したダイビングであった。
2本目は、若干透明度の悪い砂地を探索。見事な体色変化によって、砂地に擬態するコクテンハギの♂♀に遭遇したかと思うと、存在そのものが特殊能力と言ってもいいワカヨウジが登場。さらに、ドングリガヤの刺胞毒を自分の背中にそのまま盗んでしまう【盗刺胞】という技を持つタルミノウミウシ、水底を滑るように移動しながら、砂に潜って身を隠すダルマガレイ。まさにサムライジャパンのような個性派軍団の共演に一同大興奮の45分であった。
最近プロ野球の世界に、個性派が少なくなって久しい。日本で生まれた世界一美しいフォームと呼ばれるアンダースロー投手も、一軍で活躍出来る選手は少なくなって来ている。フグにおけるテトロドトキシン(※化学式C11H17N3O8)のような、タモリにおけるメチャクチャ外国語のような、誰しもが一目置く特殊能力の素晴らしさ。時には武器というフレーズで例えられるこの能力を持つ生物の生存力は強い。
同じ食事を何カ月も飽きずに食べる事が出来るという特殊能力を有する筆者。鼻から牛乳よりは生存戦略として役に立つ!と自分の能力に誇りを感じながら、1週間同じ昼食を食べ続けるタオ島の昼下がり、海を見ながら考える35歳の妄想であった。
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