++タオ島ログ++

シェイクスピアの奇跡

4月20日 お天気 曇りのち晴れ 水温29度  透明度:20〜25m

【ポイント】 AM:ヒンウォンピナクル ⇒ シャークアイランド

【見られたお魚】
シェベロンバラクーダ:イエローテールバラクーダ:タイマイ:ロクセンヤッコ:ニセフウライチョウチョウウオ:ササムロ:ユメウメイロ:ハナビラクマノミ:ヨロイウオ:ゴマモンガラ:ツキチョウチョウウオ:オニカサゴ:ワヌケヤッコ:ハシナガチョウチョウウオ:トウアカクマノミ:キビナゴ大量:ヒトヅラハリセンボン:ハタタテダイ:ワヌケヤッコ:ブチウミウシ:ニアミスジンベエ etc・・・


【本日の認定ダイバー】おめでとうございます!!

★OW認定★

『ウエキ ユタカさん』


世の中には、奇跡と呼ばれる出来事が数多く存在する。それは多くの場合スポーツにおいて表現されることが多いが、古くは1974年、ボクシング世界ヘビー級タイトルマッチで、モハメド・アリがジョージ・フォアマンに8ラウンドKO勝利し、下馬評を覆した「キンシャサの奇跡」がある。最近では、1996年アトランタオリンピック・男子サッカー第1次リーグにおいて、日本代表がブラジル代表を1対0で下した試合も「マイアミの奇跡」と呼ばれる。


タオ島は世界有数のジンベエザメの観測地であるが、昨年タオ島で目撃された回数は45回を数える。滞在時間も長く、一回のダイビングで45分間見っぱなしという例も決して珍しくはない。この島でダイビングを生業としていると、当然遭遇する機会は多く訪れるが、一日600キロ〜700キロ泳ぐと言われるこの生物が、20数個もあるダイブサイトの中で、どんぴしゃりその時間、その場所に現れるのは、もはや奇跡に近い。まさに『タオ島の奇跡』なのである。


本日のダイビングは、西からの強風の影響で、珍しく裏側(東側)に行くことになった。ヒンウォンピナクルというマイナーなこのポイントは、マニアックなインストラクターに人気が高く、過去に奇跡が起きた例も報告されている。


当然、そう簡単に奇跡が起こるはずもなく、幸いタイマイがゴマモンガラに襲われ、足をガシガシかじられているシーンに遭遇する。このシーンだけでも十分プチ奇跡に値し、素晴らしい笑顔に出会う事が出来た。


喜びもつかの間、船に上がってしばらくすると、シャークアイランドで奴の目撃情報が飛び込んでくる。幸いポイントまで近い事もあり、船上は興奮の渦に巻き込まれた。今シーズン全くこの奇跡から見放されている筆者がその渦の中心に居たのは言うまでも無いが、何やら不穏な空気が流れるのを感じてもいた。


ポイントに到着すると、シュノーケラーが水面に数多く浮かんでいるという特有の状況に興奮はマックスに達する。ユミコ&トモファンダイブチーム、ヤス&ウイのカメラチーム、そしてユウヤオープンチームと全てのチームが同時に潜降。島の周りを大きく回り、水面に目を凝らし、誰かが見つけた音を逃すまいと耳を研ぎ澄ます。


しかし、やはりというかなんというか残念ながら奇跡は起きなかった。シュノーケラー達も次第に居なくなり、全く何事もなかったように、シャークアイランドは西風に打たれながら、静かにそびえ立っていた。


『世の中には幸も不幸もない。ただ、考え方でどうにもなるのだ。』


イギリスの劇作家シェイクスピアの言葉である。羨ましいことであるが、確かにオープンウォーターで見てしまうのは不幸なのかもしれない。しかし、やはり奴が持っているパワーというのはとてつもなく大きく、その奇跡を目の当たりにした人間が出すパワーはさらに大きい。そのパワーが欲しい。体内から湧き出るような素晴らしい感動を皆で分かち合いたい。


仕方ない、次の奇跡に期待することにしよう、シェイクスピアの言葉を心に刻みながら、海を眺める34歳青年ガイド。


この先彼がダイビング業界をしょって立つ存在になることをこの時彼はまだ知らない。
2009年04月20日(月)   No.458 (ダイビング(写真あり))

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